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これがあたし達の全力全開 ◆2kGkudiwr6 まるで神話の始まり、もしくは終わりのような光が走る。 コンクリートでさえ易々と砕かれ、溶解していく。 「うわあああ!?」 「た、太一くん!」 後ろの二人も離れるどころの話ではない。あまりの衝撃に、余波だけで太一は吹き飛ばされかけた。 100kg以上の重量を誇るドラえもんでさえ、太一を掴んで倒れないように支えるのがやっとだ。 だが、その真っ只中にいるカズマは少しも怯む様子を見せない。 シュツルムファルケンを先導として、拳を金色の光へ突きつける。 しかし、その足はその場に踏みとどまるのが限界。 『勝利すべき黄金の剣』による圧倒的な熱量と暴風。 シュツルムファルケンによってある程度相殺されてなお、その勢いはシェルブリットによる突進を圧し留めていた。 「ぐぅ……!」 「……もっとだ! もっと輝けぇ!!!」 カズマとヴィータの顔に焦りが浮かび始める。 この均衡状態が続けば、先に魔力が尽きるのは確実にヴィータの方。もはや彼女には上半身の左半分と顔しか残っていない。 そうすれば、カズマも終わりだ。アルターより先にカズマの体そのものが焼き尽くされるだろう。 そうでなくとも、極光を放っているセイバーと極光を直接受けているカズマ、どちらの消耗が早いかは自明の理だ。 ヴィータの表情を少しずつ、だが確実に絶望が侵食し始め…… 突然、矢が加速した。 ヴィータの力ではない。その証拠に、彼女の表情には驚愕が浮かんでいる。 だが、その表情も亀裂が走り始めたレヴァンティンを見て変わった。 (……そっか、お前も付き合ってくれるんだな) 強引に魔力を搾り出そうとした所為か、レヴァンティンもまた自壊を始めている。 けれど。しっかりと魔力を放てるだけの機能は残している。 だから、叫んだ。全ての力を極光へぶつけ、その奥にいる相手に思い知らせるために。 「これが、あたし達の全力全開!!!」 『Explosion!』 それが、消えかけた口が最期に紡いだ言葉。爆発するレヴァンティンが出した最期の言葉。 最期の魔力が矢を押し出し、爆ぜる――消える前の蝋燭のごとく。 だが、それでも相手は伝説の宝具である。そしてそれを担うは騎士王。 どれほど魔力を注ぎ込もうと、その攻撃が不完全である以上黄金の剣が打ち破られることはない。 ――そう、シュツルムファルケン「だけ」ならば。 それだけではないのなら、打ち破れる。 単純な足し算だ。小学生でも、カズマでも分かる。 一つで足りないならば……数を増やせばいいだけの話! 「ウォォォォォオオオオオオオ!」 カズマが叫ぶ。目の前への光の壁へ。 だが叫ぶだけで現実は変わらない。カリバーンの閃光に、ファーストブリットの勢いが殺されていく。 だがらこそ…… 「撃滅のォォォォォオオオオオオオオ! セカンドブリットォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」 再び加速する。 目の前にある物がどんなものであろうと関係ない。 それが「壁」の体を成すならば……カズマがすることはただ一つ。 「貫けェェェェェェェ!!!」 突き破る、それだけだ。 目前の光と熱に目を瞑りながらも、決して突進だけは止めようとはしない。 限界を迎えたシュツルムファルケンが飲み込まれ、消える。 魔力によって生み出された強力な熱がカズマ自身を直接炙っていく。 だが、それでも彼は諦めない。 「倒れるか、倒れるかよ……倒れるとしても前のめりだッ!!!」 叫ぶ。意志が尽きないことを、声とその右腕で示す。 矢さえも消失した今、道しるべは己が拳唯一つ。 アルターの亀裂も焼けていく肌も意に介さず、ただ前だけに突き進み。 そしてついに、命を宿した矢を先導に――拳一つで、宝具の閃光を潜り抜けた。 圧倒的な熱量によって、カズマの体中には火傷と裂傷が新たに刻まれている。 劉鳳との戦闘によるダメージも未だに残っている現状、万全とはとても言い難い。 ……しかし、『勝利すべき黄金の剣』を放ったセイバーにも言えることだ。 『約束された勝利の剣』ほどではないものの、それでもかなりの魔力を持っていかれるのには変わりない。 半日以上前、しかも六時間近い休息を取ったとは言え、既にここで宝具を一度使っているのだから尚更だ。 「くっ……『全て遠き理想郷』!」 だからこそ、頼りとする鞘の真名をセイバーは呼んだ。 遥か遠き理想郷。全ての攻撃を遮断する妖精郷。これならシェルブリットさえ確実に防ぐだろう。 ――しかし、鞘は展開されず。 唖然とするしかないセイバーへ、カズマのシェルブリットが叩きつけられる! とっさに剣で受けたものの、そのような腑抜けた防御で受け止められる攻撃ではない。 今度はセイバーが吹き飛ばされる番だった。そのまま吹き飛ばされる先は、川の上。 「貰った! 抹殺のラストブリットォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」 相手を川底に叩きつけるべく、カズマの拳が唸る。勝利の確信を胸に抱き。 カズマはセイバーに飛行能力はないと推測していた。 飛べるのなら最初の攻撃は自由落下ではなく、飛行による加速を使うはず。 自分と同様、圧倒的な推進力で「跳ぶ」のが限界。 だからこそ、水の上、空中という足場のない場所なら相手は攻撃を防ぎようがない。 (風王結界とやらで飛ばす余裕なんて与えねえ! 沈みやがれ!) 勝ち誇った笑みと共に、シェルブリットが加速する。 ――確かにその推測の「過程」は当たっていた。 だが、根本的な結論を間違えている。なぜならセイバーは、 「何ィ!?」 「はあああああああ!」 水の上に、立てるのだから。 水面をコンクリートかのように踏みしめ、セイバーはカズマへ剣を振るう。 湖の精霊の加護。それがこの力の正体だ。剣と拳、その二つが激突しあい、水面に波紋を起こしていく。 カズマが見たことがある相手は、空を飛べる相手と力ずくで跳ぶ相手。 そして後者の中に空は飛べないが水に立てるなどという、 そんなまどろっこしいアルター能力者は存在しなかった。 だからこそセイバーを単純に後者だと予想したのであり、この能力までは予想し得ない。 先ほどの衝突、セイバーの勘違いがカズマに勝利をもたらした。 今回の衝突はカズマの思い違いが存在する……故に結果も変わるのが当然の摂理。 魔力放出とシェルブリットの破壊が収まっていく。 相殺される。それはセイバーにとって喜ばしいことであり、カズマにとっては最悪なことだ。 三発撃ち切ったカズマは飛ぶことができず、水の上に浮くこともできない。 このままいけばカズマは水中に落ち、水の上からセイバーに斬られて終わりだ。 もっとも、セイバーは待つ気さえないようだった。 空中にいるカズマへ向け、カリバーンを振りかざす。 カズマとて、黙っているわけではない。すぐにアルターの再構成を開始していた。だが…… (まずい……アルターの再構成が間に合わねえ!) 川の上だということはここでも災いする。 再構成に使えるもの……全てが遠い。 僅かコンマ数秒の遅れに過ぎない。だがそれが致命的な遅れになる。間に合わない。 何よりも最悪なのは……そうと分かっていても、カズマはアルターを再構成することしかできないことだ。 (くそ、速さだ。速さが足りねえ……!) 今回ばかりはカズマもクーガーに同意せざるを得ない。 速さだ。今必要なのは、何よりも速さだ。 焦る意識と対照的に、視界に映るものはスローモーションのように遅い。 それでも方策は思いつかず、剣は着々とカズマの首を刈り取るべく迫っている。 (まだだ、まだ諦めねえ!) しかし、カズマは目を閉じようとはしなかった。 間に合わないと分かっていても、アルターの再構成を行う。 間に合うということに賭けて。命ある限り、反逆する。 瞬間、それに応えるかのようにシェルブリットが光り出した。 一発だけでよかった。少しでも準備ができれば、その時点でシェルブリットを放つつもりだった。 しかし、それどころか肩に、背中に、顔に。 アルターは再構成されシェルブリットが真の姿を開放していく。 セイバー以上に事態が全く理解できないカズマの脳裏によぎったのは、赤い少女。 (まさか……テメェの……) その考えは直感によるものに過ぎなかったが……紛れもない真実であることに変わりはない。 ほんの偶然だ。霧散したヴィータの体が魔力として僅かな間残っていたのも、それがたまたまここまで流れてきたのも。 だが……偶然であろうと必然であろうとここに在ることもまた、変わりはない。 「こ、これは!?」 「……これは! この光は! 俺とヴィータの!!! 輝きだァッ!!!!!」 金色の剣さえ上回る、反逆の光が騎士王へ奔る。 そう、カズマにとって理屈など関係ない。 ヴィータの魔力を取り込んだことで、アルターの回復が通常以上に促進された、などという理屈は関係ない。 必要なのはただ一つ――ヴィータが手を貸してアルターを再構成したという事実のみ! それでも、撃てるとすれば一撃だけだ。 魔力というロスト・グラウンドに存在しないものを使い、 更にほとんど時間も掛けずに急遽生成したアルター。どう足掻いても、隙間だらけの歪な物にしか成りえない。 だが、その一撃は―― 『「鉄槌のォォォォォオオオオオオオオオオオオ!!!」』 カズマが叫ぶ。 その声に、どこか幼い声が唱和しているような気がしたのは、カズマの気のせいだっただろうか。 『「シェルブリットォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」』 そう、その一撃は――二人分の、重さがある。 カリバーンとシェルブリットが再びぶつかり合う。 その衝撃は先ほどのぶつかり合いの比ではない。 もっとも、セイバーの剣は同じだ。違うのはただ一つ……カズマのシェルブリットのみ! 「砕け散れェェェェェ!!!」 カズマが叫ぶと同時に、ピシリと音がした。発生源はカリバーン。 息を呑むセイバーを尻目に、次々に亀裂は広がっていき。 カリバーンを、完膚なきまで粉砕した。 更にそれに留まらず、シェルブリットはセイバーの頭部目掛けて突き進む。 剣を失った剣の英霊に、最早勝てる道理など存在しない。 だが、セイバーの瞳に諦めなどない。 そう――その道理を覆してこそ、剣の英霊! 「――調子に乗るな!!!」 「なにィ!?」 迷いは無く、行動は神速。 セイバーは素早く腰に構えていた鞘を抜き放ち、カズマの拳を迎え撃つ。 鞘を盾にするどころか剣として扱うという行動には、流石のカズマも息を呑んだ。 剣の英霊としても、騎士王としても在り得ぬ愚行。もっとも、今のセイバーにそんなことを構う余裕などないが。 だが、カズマが驚いたのはそれだけではない。 (鞘が――見えなくなってやがるだと!?) 叩きつけられた鞘はその色を失い、光を透過し始めていた。 もっとも、理屈さえ分かれば単純な話。セイバーはアヴァロンに風王結界を纏わせることで、即席の剣と成したのだ。 切れ味は宝具どころかせいぜい普通の業物程度しかないが……風に包まれた中身は聖剣の鞘。 丈夫さは折り紙つきだ。 なおも進軍する反逆の徒を討ち払うべく、伝説の鞘が振るわれる――! 「ハアアアアアアアァァァァアアアアアアアアアアアアア!!!」 「ッオオオオオオオオオオオオオオォォォォォオオオオオ!!!」 反逆者(トリーズナー)と騎士王(アーサー)。 その全てを賭けた衝突は強烈な爆風と破壊を生んだ。 川は局所的に干上がり、津波を起こし。 自然災害かと見まごう程の破壊が起こる。 そして――破壊の均衡は、どちらにも傾かず。 そのまま二人を、彼方へと吹き飛ばした。 ■ 「……くぅ」 爆発の源から数百mは離れた箇所。そこでセイバーは歩いていた。 下手に踏みとどまらず、爆風に身を任せたのがよかったのだろう。歩く程度ならば支障はない。 だが、それでも戦闘の代償は大きい。治りきっていない傷は悪化し、魔力はかなりの量を消費。 そして何より、カリバーンは砕け散った――かつてと同じ様に。 「……分かっていたことです」 そうセイバーは吐き捨てて、今後の方策へと頭を切り替えた。 まず川の上を歩き、渡る。目指すのはC-2かD-2、その二つが禁止エリアになるならE-1だ。 飛行能力や水上移動能力を持つ者は少ないはず。D-1に侵入できない現状、C-2やD-2に来るものはいないだろう。 そこで少なくとも6時間、つまり次の次の放送までは休みたい。 傷は大方治せるだろうし、魔力も風王結界の展開なら問題ない程度まで回復できるはずだ。 そうすれば、アヴァロンを剣と成し戦える―― そこまで考えて、思わず彼女は笑っていた。 「今の私を見てマーリンがなんと言うか、見ものですね」 鞘と剣どちらが大切か――そう問われた時のことを思い出す。 あの時は、剣が大切だと答えたセイバーに彼は怒ったものだ。 それどころか、鞘を剣として扱っている現状。激怒するに違いない。 「それでも、こうするしかない」 息を吐き、川へ降りた。そのまま水上を歩き出す。 どう足掻いても……その身は剣となり、他人を討つことしかできない身だった。 剣が人を庇う鞘になれるはずはない。 ――Yet, those hands will never hold anything. So as I pray―― ■ 川の水が先ほどの破壊を洗い流すかのように流れ、正常な流れへと戻っていく。 同時に、その中から一人の男が顔を出した。 「げほ、げほ……」 カズマである。 彼は吹き飛ばされた先も川だった。セイバーが下流方面だったのに対し、こちらは上流だが。 疲労困憊、おまけに体中の傷に水は染み、先ほどまでの戦闘で流れが相当おかしくなっていたために溺れかける羽目になっていた。 ――もっとも、溺れかけたのはもう一つ理由がある。 カズマの手には、おかしな顔のうさぎの人形が握られていた。服から落ちて沈みかけたものを回収したのだ。 ヴィータの物であるこれが、いつカズマの服に引っかかっていたかは知らない。知る必要もない。 大切なことは、これがここにあるということ。 ――ただ一つ、ヴィータの生きていた証を示すものがあるということ。 「分かってるさ……仇を討ってくれるまで消えきれないって言うんだろ? 俺だって劉鳳の馬鹿をぶっ飛ばすまで死ねねえしな」 呟きながら岸に上がって……突然、ふらりと来た。 もはやカズマも限界だ。川から上がることはできたものの、 劉鳳とセイバーから受けた数々の傷は耐え切れないレベルまで達している。 そもそも、彼のシェルブリット第二形態は相当な負担を強いるもの。 それを強引に放ったのだから、それだけでも倒れるのには十分だ。 だが、倒れるわけにはいかない。少なくとも、やることが一つある。 それは、言葉を紡ぐこと。 「オッケー、ヴィータ……お前の名前、刻んだ」 短い言葉の中に、百の決意を込めて。 【E-3 1日目・夕方】 方針:市街地へなのはを探しに行く 【八神太一@デジモンアドベンチャー】 [状態]:右手首より先喪失(出血中) [装備]:無し [道具]:支給品一式 [思考・状況] 1:痛いけど泣かない 2:カズマが気がかり。 3:ヤマトやルイズも気がかり。 基本:これ以上犠牲を増やさないために行動する。 [備考] ※アヴァロンによる自然治癒効果に気付いていません。 ※第一回放送の禁止エリアはヴィータが忘れていたのでまだ知りません 【ドラえもん@ドラえもん】 [状態]:中程度のダメージ、頭部に強い衝撃 [装備]:無し [道具]:支給品一式×2、"THE DAY OF SAGITTARIUS III"ゲームCD@涼宮ハルヒの憂鬱 [思考・状況] 1:太一の怪我の処置 2:カズマを探す 基本:ひみつ道具と仲間を集めてしずかの仇を取る。ギガゾンビを何とかする。 【D-3 1日目・夕方】 【カズマ@スクライド】 [状態]:疲労大、全身大程度の負傷(打身・裂傷・火傷)、気絶一歩手前 [装備]:なし [道具]:高性能デジタルカメラ(記憶媒体はSDカード)、携帯電話(各施設の番号が登録済み) かなみのリボン@スクライド、のろいウサギ@魔法少女リリカルなのはA s、支給品一式 鶴屋の巾着袋(支給品一式と予備の食料・水が入っている)ボディブレード@クレヨンしんちゃん [思考・状況] 1:なのはが心配というわけではないが、ヴィータの名前を刻んだこともあるし子供とタヌキを守る。 2:かなみと鶴屋を殺した奴とか劉鳳とかギガゾンビとか甲冑女とかもう全員まとめてぶっ飛ばす。 【E-2水上/一日目/夕方】 【セイバー@Fate/Stay night】 [状態] 腹三分、疲労大、全身に中程度の裂傷と火傷、両肩に大程度の傷、右腕に銃創、魔力消費大 [装備] アヴァロン@Fate/Stay night [道具] 支給品一式(食糧1/3消費)、スコップ、なぐられうさぎ@クレヨンしんちゃん (黒焦げで、かつ眉間を割られています) [思考・状況] 1:水上を移動してC-2かD-2、その二つが禁止エリアになるならE-1へ。傷と魔力の回復を待つ。 2:できれば剣が欲しい。エクスカリバーならば尚良い。 3:優勝し、王の選定をやり直させてもらう。 4:エヴェンクルガのトウカに預けた勝負を果たす。 5:他にサーヴァントがいないかどうか確かめる。 6:迷いは断ち切った。この先は例え誰と遭遇しようとも殺す覚悟。 ※アヴァロンが展開できないことに気付いています。 ※防具に兜が追加されています。ビジュアルは桜ルートの黒セイバー参照。 【ヴィータ@魔法少女リリカルなのはA s 消滅】 【レヴァンティン@魔法少女リリカルなのはA s 破壊】 【カリバーン@Fate/stay night 破壊】 [残り43人] ※勝利すべき黄金の剣とシュツルムファルケン+シェルブリットによる衝突の轟音と、 カリバーン+アヴァロンと鉄槌のシェルブリットによる破壊の轟音が周囲のエリアに響き渡りました。 時系列順で読む Back 避けてゆけぬBattlefield Next 受容 投下順で読む Back 避けてゆけぬBattlefield Next 受容 191 避けてゆけぬBattlefield 八神太一 198 Infection of tears 191 避けてゆけぬBattlefield ドラえもん 198 Infection of tears 191 避けてゆけぬBattlefield カズマ 198 Infection of tears 191 避けてゆけぬBattlefield セイバー 216 此方の岸 191 避けてゆけぬBattlefield ヴィータ
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【名前】フェイト・T・ハラオウン(A s) 【出典】魔法少女リリカルなのはA s 【声優】水樹奈々 【種族】人造魔導師 【性別】女性 【年齢】10歳 【外見】 金髪の長髪を黒いリボンでツインテールに結わえている。瞳の色は赤。 【性格】 大人しく温和な性格。気弱だが友情に厚く、大切な仲間の為ならばどんな苦難も厭わない。 【原作での設定】 母親プレシア・テスタロッサの為に、使い魔のアルフと共に非合法のジュエルシード回収を行っていた。その中で高町なのは(A s)と出会い、戦いを経て親友となる。その後半年間は裁判を受けながら嘱託魔導師試験に合格、ヴィータに襲われたなのはを助ける為に駆けつける。そしてその後、愛用のデバイス、バルデッシュをバルディッシュ・アサルトに強化している。 明確な参加時期は、初登場作品の書き手に一任。 【面識のある参加者】 高町なのは(A s) なのは 激戦を経た親友 【技能・能力】 魔法 自身の魔力を用いて起こす技能。多種をまんべんなくこなすが、攻撃魔法に傾倒する面がある。 デバイス 操作デバイスを扱う技能。特にバルデッシュ、バルディッシュ・アサルトの扱いに優れる。 以下、リリカルなのはクロス作品ロワイアルにおけるネタバレを含む +開示する 【ロワでの面識(092 Paradise Lost(後編)の時点)】 キャラ名 呼称 関係 初遭遇 高町なのは(A s) なのは 激戦を経た親友 未遭遇 ユーノ・スクライア ユーノ 仲間 未遭遇 クロノ・ハラオウン クロノ 義兄 未遭遇 八神はやて(A s) はやて 親友 未遭遇 シグナム シグナム 仲間、ライバル 未遭遇 ヴィータ ヴィータ 仲間 未遭遇 シャマル シャマル 仲間 未遭遇 ザフィーラ ザフィーラ 仲間 未遭遇 早乙女レイ レイ 仲間→敵対、攻撃される 013 少女、その想い 新庄・運切 新庄さん 仲間→敵対、殺害したと思っている 054 Fate/cross dawn 遊城十代 レイを止めてもらう、敵対 092 Paradise Lost(前編) 柊つかさ 敵対 092 Paradise Lost(前編) 高町なのは(sts) ? もう一人のなのは 未遭遇 フェイト・T・ハラオウン(sts) ? もう一人の自分 未遭遇 八神はやて(sts) ? もう一人のはやて 未遭遇
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エルヴィーネ 種族:人間族 登場作品:姫狩りインペリアルマイスター 解説 ゼイドラム王国の女王。 丁寧な物腰で穏やかな性格に見えるが、冷酷でプライドが高く、配下を自分の手駒としか考えていない。 自国ゼイドラムの隣国にして友好国であるユークリッド王国に表向きは協力しつつ、復活した魔王によって滅亡の危機に瀕したユークリッドを手に入れようと暗躍している。 エステルの実の姉だが、魔王に敗北した彼女を見限っており、一方でエステルも冷徹で非道な姉を見限っているので姉妹仲は最悪の一言。 己の治めるゼイドラム王国をより強大な国とする為、『迷い子の導き』計画などを画策し、周辺諸国に手を伸ばす足がかりとしてユークリッド王国への侵攻を企んだが、 先んじてユークリッド王国を制圧したまおーさまの手によって兵力が増強された結果、侵攻計画を阻まれてしまった。 ユークリッドに勝る兵力や人工的に作り出した魔人によって魔王軍相手に善戦する局面もあったが、戦いに敗れたコルネリアやアイファズフト、ナルニア達がそのまま魔王軍に取り込まれた為、 戦力が削られると同時に軍の内情や『迷い子の導き』計画についても筒抜けとなり、次第に劣勢に追い込まれていった。 最終的には切り札の最強魔人で魔王軍の殲滅を図ったが、未完成であった為に暴走する結果となり、友軍に甚大な被害を出した後に撃破されてしまった。 万策尽きた事から最強魔人に対応するまおーさま達の隙を突いて逃亡を図ったが、逃れきれずに捕縛された。 その後、表向きには此度の騒動の責任を取る形で隠居した事になっており、エステルに王位を譲ったが、 その様な状況に納得している訳では無く、まおーさまに凌辱されてもなお完全には屈していない様子。 雑感・考察 登場した当初は女王なのか王妃なのかはっきりしなかったが、ゼイドラム編五章にて女王と呼ばれているので確定した。 国を繁栄させる計画に水を差すような真似やヘマをした人間には一切の情け容赦をせずに容赦なく見捨て、場合によっては殺害も厭わない独善的な女性。 『迷い子の導き』計画の真相を知ったシュテルン将軍の殺害や魔王軍に敗北したトゥーリエを見限るなど自身の手で配下を切り捨てた他、 直接手を下した訳では無いが、コルネリアやアイファズフトに関しても敗北する可能性が高い事が分かっていた上で時間稼ぎに使い潰した感がある。 結果としてシュテルン以外の有能な人材達はそのまま魔王軍の戦力となり、さらにはナルニアまでもが離反した為に人工魔人の制御法もバレてしまった。 失敗した人間を見切りまくった結果、自分の首を絞めるという因果応報の結末となったのは皮肉と言う他無い。 いつになったらエルヴィーネ様捕縛できるんだ… - 名無しさん (2019-07-04 22 12 54) ゼイドラム編更新されませんねぇ… - 管理人 (2019-07-05 21 42 28) 最初こそラスボスっぽい風格一応あったけど終わってみれば小物だったな。味方を大事にしないとこ見るに仮にまおーさまいなくても遅かれ早かれ国を衰退させて自滅した気がする - 名無しさん (2019-12-29 21 20 45) 名前
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《タカジョー・ゼット(ゼブル)()/Takajo Zet(Zevle)》 ?id=753.png?id=754.png?id=758.png CV くまいもとこ アイコン タカジョー・ゼット、ゼブル(真・女神転生デビルチルドレン) 年齢 ? 性別 男 種族 悪魔 二つ名 蝿王、高き館の主、深淵魔王 あだ名 タカジョー、ゼット、ゼブル、ハエ 出身地 ディープホール 神出鬼没に現れる謎の少年。ゲームでは、魔界でセツナたちの行く先々に出現する。魔界にくわしく、「黒の書」「赤の書」それぞれ行く先々で案内役として2人にアドバイスする。 しかし正体は魔王「ゼブル」であり、バール三兄弟の長男でもある。 罪を犯したデビルが最終的に落ちる牢獄「ディープホール」で弟達と暮らしており、奥深くであらゆる生物と世界の行く末を見つめている。また、人間に自由自在に変身することができ、変身して地上界にブラブラと出歩いている。 ルシファーとは盟友である。 二次創作での設定 二次創作では、ルシファーが盟友や、漫画で刹那を「セッちゃん」呼ばわりすることから、ルシファーや刹那との 絡みが多く見られる。また、「蝿」であるためか、殺虫剤やハエ叩きで攻撃されることもしばしば。 またまた、刹那や未来といった子供にいきなり「やあ」と声を掛けて「デビルチルドレン」の契約を求めるためか、某白い生き物と同視されており、パロも多く見られる。 漫画ではエレジーと仲が悪いためか、彼女と喧嘩をしていることも。 デビチルの中では最も人気が高いキャラとされる。 \深淵魔王/\マジゼブル/ 関連ページ 甲斐 刹那 ルシファー エレジー キャラクター紹介へ戻る|キャラクター紹介 【真・女神転生デビルチルドレン】へ戻る
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重機兵ヴィーゲム [解説] ソルダート用のフラタニティ・フレームが持つ高い出力を生かす為に開発された機体で、設計製造はホルン社が行う。 全身に重装甲が装備され、闘牛を思わせる角を持っている。 重たい装甲によって動きは鈍重になっているが、低下した機動力をカバーするために脚部には展開機構を搭載、展開時には簡易的な魔導板のような役割を果たし、短時間の高速移動を可能とする。 武装 VR-60魔導砲 装弾数に優れた大型のドラムマガジンが目を引く射撃兵装。口径は60mm。 その形状は機体の重量バランスを考慮して設計された物である。 また取り回しやすさを考慮してショートバレルタイプに換装されている。 GR-H0526クラブ ヴィーゲム専用の格闘用武器で、非常に大きな質量を持っている。 この武装の運用の為にヴィーゲムの手は大型化されており、通常の機体で保持することは難しい。 模型ギャラリー 正面 背面
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【エリオ・モンディアル@デジモン・ザ・リリカルS&F】1 No. タイトル 作者 登場人物 時間 009 Heart of Iron ◆WMc1TGFkQk エリオ・モンディアル、シェルビー・M・ペンウッド、柊かがみ 1日目深夜 【アグモン@デジモン・ザ・リリカルS&F】3 No. タイトル 作者 登場人物 時間 016 非常食? ◆9L.gxDzakI 武蔵坊弁慶、アグモン 1日目深夜 037 クロノは大変な超人達を集めていきました ◆jiPkKgmerY 武蔵坊弁慶、アグモン、ヒビノ・ミライ、アーカード 1日目黎明 042 盟友(前編)盟友(後編) ◆WslPJpzlnU ヒビノ・ミライ、アグモン、ヴィータ、アーカード、クロノ・ハラオウン 1日目黎明 【ギルモン@デジモン・ザ・リリカルS&F】1 No. タイトル 作者 登場人物 時間 018 家族(前編)家族(後編) ◆gFOqjEuBs6 ヴィータ、キング、ギルモン、八神はやて(StS) 1日目深夜
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オークション会場は地獄絵図を展開していた。 突然動き出した操り人形達。そいつらの虚ろな瞳と錆びた短剣から逃げ惑うオークションの参加客。 大抵の者達は自らの陥った状況を理解出来ず、ただ闇雲に逃げ惑っていた。 血の結界によって閉鎖空間となったホールに在りもしない逃げ場を求めて駆け回り、椅子に躓いて転倒し、二階の客席から転げ落ちる。 そして足や腕を負傷して、呻き、ただすすり泣くだけの憐れな子羊と化して徘徊する悪魔達から逃れる為に神に助けを請い続けた。 しかし、そんな彼らはまだ幸運な方だった。 皮肉にも、不必要に動かなくなった彼らは混乱の中で奮戦するなのは達にとって保護しやすい対象となる。 賢い者達は、この状況でなけなしの理性を保ち、冷静さを失わなかった者達だった。 恐怖に先走らず、動き鈍い人形達を警戒して、壁を背にして器用に逃げ回っていた。 ――そして最も愚かなのは、混乱し、『他人を犠牲にしてでも助かりたい』と自分勝手に行動する者達だった。 「ど、どけっ! 邪魔だぁ!!」 肥満体を必死で動かし、逃げ惑う人々を掻き分けて、時には迫り来る<悪魔>の前へ囮として突き飛ばす。 「落ち着いて! 必ず助けます、混乱しないで下さい!!」 懇願にも似たフェイトの警告も、冷静さを欠いた自己保身のみに動き続ける者の脳には届かない。 一部の暴走した者達が被害と混乱の拡大を促し、なのはとフェイトはそのフォローに行動を割かれる最悪の展開となりつつあった。 混乱を振り撒いていることも自覚せず、肥満体は走り続ける。 これまでの人生のように、自分の身の為だけに奔走する男は混沌の中で助かる道を見つけ出した。 誰もが逃げ惑う中、ただ一人周囲の<悪魔>達を打ち倒し続ける男がいる。 「頼む、助けてくれ! 金なら幾らでも払う!!」 二挺の銃型デバイスを振り回し、この地獄の中でも決して鈍らない力の輝きを放つその存在へ、彼は縋り付いた。 自らの仕事を遂行していたダンテは、男の必死な形相を一瞥する。 「――金か。確かに、今丁度要り様なんだ」 「だろう!? この場の誰よりも高く払うぞ! だから、私を助けるんだ!!」 「OK、助けてやるぜ。そら、危ない」 そう言って、笑いながらダンテは彼をサッカーボールよろしく蹴っ飛ばした。 文字通り豚のような悲鳴と共に肥満体は軽々と宙を飛び、壁に激突して沈黙する。そのコンマ一秒後に男の居た場所に投げナイフが突き刺さった。 意識と数本の歯を引き換えに男は命を救われ、次の瞬間ダンテの魔力弾が射線の先にいた人形を粉砕した。 「やりすぎです」 「おっと失礼。人命優先ってことで許してくれ」 狙って蹴ったものか、すぐ傍にいたなのはが気絶した男に防護結界を張る中、さすがに顔を顰める様子にダンテは嘯いてみせる。 皮肉を込めた返答に、なのはは困ったように沈黙するしかない。 自己保身の為の暴走で、被害が増えることをこれで抑え、同時にこれは本人の安全の為にもなる。 やり方は乱暴だが、ただ敵を倒すのではなく周囲に気を配っているダンテの戦い方を、なのはは信頼しつつあった。 「この敵のこと、何か知ってるみたいですけど……っ」 「悠長に説明してる暇はないが、一つだけ言っとくと、客を逃がそうなんて思うなよ。外にコイツらがいない保証はないぜ」 「……分かってます」 内心、ダンテに援護を頼み、自分が結界を砲撃で破壊するという考えもあったなのははそれを改めた。 結界の得体がまるで知れない以上、砲撃の出力調整のミスは余剰エネルギーによる建物の破壊とそれに次ぐ崩落の危機を招くし、脱出を求める客の行動が更に被害を拡大させる事は想像に難くない。 自分でも焦りがあることを自覚し、なのはは冷静になるように努めた。 しかし、このままではジリ貧なのは確かだ。 室内戦に適したフェイトが持ち前のスピードで混戦の中奔走することで、未だ死者だけは出ていないが、それは多少の幸運も関わっての結果だ。 この状況が続けば、疑問に思わざる得ない。 果たして、サイコロを振って同じ目を出し続けることが何時まで出来るのか――? その答えはすぐに出た。 「――ッ! 危ない!」 ディバインシューターでまた一人の客を襲おうとしていた敵を撃破したなのはは、そのすぐ傍で抱き合って蹲る老夫婦を見つけ、意味のない警告を発した。 別の人形が二階からナイフを振り上げて飛び降りようとしている中、神に祈るしかない彼らは一歩も動かない。 「ディバイン……っ!」 「避けろ!」 すぐさま次弾の魔力を練り上げるなのはを、不意にダンテが突き飛ばした。 一瞬遅れて、飛来したナイフがなのはの頬を掠める。 鍛え上げられた危機回避能力が無意識に体を動かし、なのはは反射的に形成した魔力弾をカウンターで撃ち出してしまった。 自分を攻撃した敵を素早く粉砕し、しかし次の瞬間絶望的な失敗を悟る。 「あ」 なのはに残された行動は、そんな間の抜けた言葉を漏らして視線を老夫婦に戻すことだけだった。 悪魔の人形が嬉々として彼らに飛び掛る。 それはあの二人の死を意味する。なのに唯一それに気付く自分はもう何も出来ない。 すぐに形成しようとする次の魔力弾は、完全に間に合わず。 なのはの目の前で、ついに犠牲が出ようとして――。 「させるかぁ!」 間に割り込んだユーノの展開するバリアによってそれは防がれた。 「ユーノく……っ」 「なのは、打ち上げるよ! 墜として!」 「――!! 分かった!」 意外な乱入に驚愕するよりも先にユーノの声がなのはの体を突き動かし、魔法を行使させた。 ユーノは左腕で展開したプロテクションで人形の体ごと攻撃を受け止め、右腕をフィールド系の魔法で防護する。 そして振り抜いた拳は、貧弱な腕力よりも障壁の反発作用によって、枯れ木で出来た人形の体を軽々と宙へ弾き飛ばした。 「シュート!」 放たれた桃色の弾丸が、空中で標的をバラバラに爆砕した。 10年ぶりのコンビネーションを成功させたなのはとユーノ、互いに幾つもの感情を交えて視線を交差させる。 交わしたい言葉や疑問は幾つもあった。 「――敵の動きを止める! 一気にカタをつけるんだ!」 「――分かった!!」 しかし、言葉など交わすまでもなく、今この場で最も必要な判断と行動を二人は無意識下で互いに理解し合っていた。 ユーノとなのは、二人は自分の成すべき魔法を準備する。 「フェイトちゃん、勝負を掛けるよ!」 混戦の中、貫くように走るなのはの声をフェイトは聞き逃さず、その真意も間違えない。 ここぞという時の為に控えていた高速移動魔法を発動させ、フェイトはなのはの空白の時間を埋めるべく疾走する。 制限時間のあるフェイトのフォローの間に、なのはは独り敵を撃ち続けるダンテにも声を飛ばした。 「敵の動きが止まります! 合わせて!!」 端的ななのはの言葉に、ダンテは目配せ一つで応じてみせる。 そして、ユーノの魔法が完成した。 「いくよ! <レストリクトロック>!!」 集束系上位魔法が発動する。 指定区域内の対象を全て捕縛するバインド。発動と同時に、ホール内で動く全ての<悪魔>と、逃げ惑う人間を纏めて無数の光の輪が捕らえた。 敵味方問わない無差別な捕縛だが、その対象数を考慮すれば信じられないほど高度な魔法技術であることは明白だった。 魔女の釜の如き混沌とした空間が唐突に全て制止される光景に、それを待ち構えていたなのはすら圧巻される。 実戦から退いていたとはいえ、成長したユーノの実力はなのはの予想を超えるものだった。 一瞬呆けてしまう中、ダンテの純粋な感嘆の口笛だけが軽快に響く。 「なるほど、こいつはスゴい。食べ放題ってワケだ」 「数が多い! 守って五秒!」 「三秒で十分さ」 不敵に笑うダンテの両腕が集束された魔力を帯びて赤く発光し、スパークを放ち始めた。 我に返ったなのはがすぐさま魔力弾を周囲に形成する。フェイトによって稼がれた貴重な時間を使い、用意した弾数は倍近い。 「いくぜ?」 「今っ!」 言葉も交わさず、互いに相手の射線を把握し、自分が撃つべき標的を捉える。 「Fire!!」 「シュート!!」 引き絞られた弓のように、満を持して二種類の光が解き放たれた。 真紅と桃色の光弾が乱れ飛び、敵だけを正確に捉えてそれに直撃し、呪われた人形を吹き飛ばす音が連続した爆音となりホールを埋め尽くす。 一瞬にして一方的な破壊の嵐が暴れ回る。動けなくなった人々の悲鳴はその中に埋もれていった。 そして、束の間の嵐が過ぎ去った時、後に残るのは人間だけだった。 あれほどいた<悪魔>は一匹残らず消し飛び、敵の全滅を示すようにホールの扉を覆っていた赤い結界は音を立てて砕け散る。 「――BINGO」 唐突に取り戻された静寂の中、ダンテは舞台の幕を閉じるように、これ見よがしに銃口から立ち昇る煙を口で吹いて見せたのだった。 魔法少女リリカルなのはStylish 第十四話『Cross Fire』 「――うん、そう。こっちの戦闘は終了したよ。重軽傷者は多数、でも死者は出てないから」 状況から考えれば奇跡的とも言える結果を確認したなのはが通信を行う中、ユーノ達はホールのステージ付近に集められた客の様子を見て回っていた。 結界が解除された今、何人かは外に出ることを強く主張していたが、外でも戦闘があったことを告げるとすぐに黙り込んだ。 誰もが回避された惨劇に安堵し、同時にジワジワと実感を持って蘇る恐怖の余韻に身を強張らせていた。 「すぐに救護隊が来ます。それまで辛抱して下さい」 「腕が……腕が折れてるんだっ! 早く治すよう言ってくれ!!」 フェイトは無用なパニックを起こさないよう笑顔を振り撒き、客の一人一人に声を掛けていたが、似合わないタキシードの中年が泣き付いて来て対応に困っていた。 重傷者に治癒魔法をかけるユーノを指して、男はただひたすら腕が折れていることを主張し続ける。 「すみません、重傷者が優先なんです。それに、彼が働いているのは善意で……」 「うるさいっ! 分かっているのか!? 腕が折れてるんだぞ、腕が……っ!」 「へえ、そうかい。痛むのか?」 辛抱強く落ち着かせようとするフェイトの横から、ぬっと腕が伸びて、迫る男の肩を押さえ込んだ。折れた腕の方の肩を。 走り抜ける激痛に、男は言葉を忘れて奇怪な悲鳴を上げた。 しかし、ダンテはそんな様子を尻目に優しい笑顔を浮かべながら、加減もせずにポンポンと肩を叩く。 「ああ、確かに痛そうだ。だが、こんな美人に怪我の心配をしてもらえるんだから、男ならやせ我慢の一つも見せなきゃな?」 呆気に取られるフェイトの前で、ついに泡を吹き始める男の顔に何を感じ取ったのか、納得するようにダンテは頷いた。 「そうか。分かってくれて嬉しいぜ」 「相手は怪我人なんですよ……?」 「怪我人なら他に山ほど居るさ。甘やかす歳でもないだろ」 諌めるフェイトに、ダンテは全く悪びれもせずに笑って見せたのだった。 様子を伺っていた周囲の者達の間で飛び交う自分勝手な文句が鳴りを潜める中、ダンテ達はなのはの元へと集まった。 「とりあえず、応急処置は施したよ。命に関わる怪我の人はいないね」 「ありがとう、ユーノ君。それに……久しぶりだね」 「うん。僕も、驚いたよ」 なのはとユーノの二人の間に何とも言えない空気が漂った。 二人が顔を合わせるのは実に久しぶりのことだったし、大人になって少しずつ言葉を交わし辛くなりつつあった中、窮地において変わらず心を通わせ合えたことが嬉しかった。 「……ポップコーン買って来るか?」 「しっ、少しだけそっとしておいて上げましょうよ」 そして、傍らで一連のシーンが終わるまで待ち惚けを喰らう二人を思い出して、なのはとユーノは我に返った。 顔を赤らめながら咳払い一つ。お互い、心なし距離を取り合う。 冷静になった。今は、こんな悠長なことをしている場合じゃない。 「それで、あの……」 「ダンテだ。職業は便利屋。ここにはお偉いさんの護衛に雇われて来た」 どう切り出したものか、と伺うなのはの様子を察して、ダンテは手短に自己紹介を済ませた。 基本的な質問には幾らでも答えられるが、<悪魔>に関してはどう説明したものかと顔に出さずに悩むしかない。 それに、敵のいなくなった今でも何か違和感が残って仕方ない。 先ほどから、さりげなく走らせる視線に護衛すべき男の姿が一向に捉えられないのも気になった。 「さて、アンタらも何から聞いたらいいのか分からないって顔だが、俺もどう話せばいいもんか悩んでてね」 「そうですね……とりあえず、わたしは高町なのはといいます。機動六課所属の分隊長をやっています」 「ナノハ、ね――アンタらの知り合いにヴィータやザフィーラって奴がいれば、話は早いんだが」 ダンテは全く期待せずにその名前を出したが、三人は一様に驚きの視線を彼に向けた。 「知ってるんですか、ヴィータちゃんのこと!?」 「……まさか本当に知り合いなのか?」 「同じ部隊の所属です。それに、ダンテさんはひょっとしてティアナと知り合いじゃないですか?」 「オイオイ、ティアまでいるってのか? 冗談が現実になりやがった」 「やっぱり。ティアナは外で警備に当たってます。よければ、会いますか? その方が話もしやすいと思うし」 「ハハッ、いいね。感動の再会って言うらしいぜ、こういうの」 そう言って破顔するダンテの表情を、これまでの見せ掛けではない純粋な笑顔だとなのは達は感じた。 そこにはティアナに対する確かな親愛の情があった。 目の前の得体の知れない男に抱く最後の不信感が消えていく。 不法所持の可能性があるデバイス。自分の部下と共通する戦闘スタイル。そして何より、その力。 警戒に値する要素は幾つもあるが、それを打ち消しているのはたった今判明した彼の人間関係と、何より彼自身の人柄だった。 悪い男ではない。なのははようやく、何の隔たりもない友好的な笑みを浮かべることが出来た。 「お話、聞かせてもらってもいいですか?」 「ああ、美人の尋問なら大歓迎だね。望んだとおり、再会出来たしな」 オークションが始まる前、偶然出会った時の言葉を思い出して、なのはとフェイトは苦笑した。 「それじゃあ、わたしはダンテさんを連れて外で合流してくるから、フェイトちゃんは救護班が来るまでここで待機してね」 「分かった」 「ユーノ君も。わたし達が守る側の人間なんだから、無理はしないで」 「……うん、分かったよ」 なのはの仕事としての言葉に、ほんの僅かな寂しさを感じながらユーノは頷く。 ダンテと共に未だ危険の残る前線へ歩み去っていくかつての少女の背を眺め、彼は昔とは違う自分達の関係を改めて噛み締めていた。 「気をつけて、なのは……」 その時、その瞬間、異なった場所で多くの出来事が歯車のように連動して動き出していた。 ただ一つ、ヴィータの立つ光の届き切らない薄暗い空間を除いて。 ホテル<アグスタ>の地下駐車場は、外の喧騒から隔離されているかのように音の死んだ静寂に満ちていた。 「野郎……」 ヴィータは視線を落としたまま悪態を吐いた。それは彼女の足元に広がるモノのせいだった。 血だ。 正確には死体と血だった。 このホテルの警備員の服を着た幾つもの肉の塊が、暗闇の中にあってどす黒い血の海に沈んでいた。 散らばったパーツを集めればきっと人間が出来るに違いない。原形を留めぬほどバラバラにされた憐れな死体だった。 自分の考え得る最悪の事態が起こったのだとヴィータは悟った。 ホテルへの搬入口のある地下の更なる奥。死んだ血と肉の放つ臭いはそこからも漂ってくる。 ヴィータはすぐさまデバイスの通信機能をOFFにした。非常灯だけが照らす暗闇の中、集中を乱す邪魔を入れたくない。 血溜まりに足を踏み下ろし、びちゃっと響く不快な水音を無視して歩みを進めた。 本来ならパニックに陥るような惨状の中、ヴィータの思考は逆に冷たく、静かになっていく。 無血鎮圧を第一とし、非殺傷設定によってそれを成す管理局の魔導師は生々しい死への耐性が足りない。もし新人達ならば、この場で冷静ではいられなかっただろう。 しかし、ヴィータは古代ベルカの騎士であった。 人が死ぬ時、必ず安らかに眼を瞑ったまま逝けるのではないことを知っていた。人は、何処までも汚く殺せる。 そういう意味で、この場に転がる死体はむしろ綺麗だとすら感じた。 (一人も、生きちゃいないのか……?) また一つ、死体を見つけた。 体から離れた位置にある腕がハンドライトを握り締め、別の場所に転がる自分の頭を照らしている。 その死に顔は苦悶のそれではなく、ただぼんやりとした驚きだけがあった。 自分の死にも気づいていないような呆けた表情が逆に不気味ですらある。 しかし、ヴィータの気を引いたのはその死相ではなく、この死体を生み出した手段だった。 (すげえ断面だ。シグナム並の腕じゃねぇか) 戦士としての純粋な感性が、不謹慎にも目の前の死に対して感嘆を漏らしていた。 何らかの刃物による切断。死因はそれに違いない。しかも、相手に苦痛を感じさせる間もなく一瞬で人体をバラバラにするような斬撃だ。 柔らかい人肉を、鉱物を切るように鋭利な平面で切り分けている。『斬った』というより『スライスした』という表現が相応しい。まるでトマトのように。 (雑魚とは違うか……) グラーフアイゼンを握り締める手に、力と緊張が加わった。 自分の戦った有象無象の<悪魔>どもに出来る芸当ではない。 何らかの大物が待ち構えている―――半ば確信した警戒心を抱き、ヴィータは更に足を進めて行く。 敵がもう立ち去った、などと楽観的な考えは欠片も浮かばなかった。 この奥には何かが居る。進むごとに増していく、ただ存在するだけで発せられる圧迫感のようなものが感じられるのだ。 死臭が強くなり、終着が近いことを示していた。 物音が聞こえる。 何かを漁るような音だ。やはり、敵の目的はオークションの品物か? 足音と気配を殺して、並び立つ支柱に隠れながら近づき、ヴィータはついに辿り着いた。 一台の輸送車の近くに転がる死体。おそらく二人分だ。血とパーツの量が多い。 輸送車の二台は扉が鋭角に切り開かれている。周囲には投げ捨てられたコンテナが幾つも転がっていた。 その荷台の前に佇む、人影が一つ。 「――動くな。両手を見せながら、ゆっくりと振り返れ」 完全に背後を取れる位置に立ったヴィータは、静かく端的に告げた。 人影の小刻みな動きが停止する。 やはり何かを探していたらしい、コンテナに差し入れていた手をゆっくりと取り出すと、そのまま力なく垂れ下がった。 「頭の位置まで上げろ」 ヴィータは再度命令したが、その人影は従わなかった。代わりに背を向けながらも自分に発せられる殺気が感じられる。 コイツは降伏なんて考えちゃいない――ヴィータはそう悟ったが、不用意に攻撃的になることはなかった。 現状、自分は有利な位置にある。それを確保し続ければいい。 何かを仕掛けるつもりなら警戒するべき両手も、ヴィータの位置からはハッキリと確認出来た。 右手は無手。左手には問題の得物を握っている。 鞘の形状からシグナムと同じ片刃の剣。しかし、レヴァンティンより反りが深い。 「振り返れ。ゆっくりだ」 その言葉には、目の前の人影も従った。 足の動き、手の位置、相手の向ける視線の向きまで用心深くヴィータは観察する。 見上げるほどの長身と広い肩幅、そして露わになった服の上からでも分かる屈強な胸板が男であることを示していた。 動きと合わせて揺れるコートの裾。 視線が自分を捉えた瞬間増した殺気と圧迫感。 そして、完全にヴィータと向き直り、その顔を見た瞬間驚愕が冷静さを吹き飛ばした。 「お、お前……っ!?」 見開いた眼に映る男の顔は、信じられないことにヴィータにとって見知ったものだった。 「例の<アンノウン>と同質の魔力反応です! でもこれは……数値が桁違いです!」 「極小規模の次元震を感知! 信じられません、数メートルの範囲内で安定、継続して起こっています!」 「数メートル……『あの化け物』の体格とほぼ同じか」 矢継ぎ早に届く報告を必死に脳内で処理しながら、グリフィスはモニターを睨み付けた。 たった今出現した反応の出所がそこに表示されている。 リニアレールでの事件以来、サーチャーに改良を加えることでノイズ交じりとはいえ不可解な映像妨害を克服したモニターが可能になっていた。 センサーに何の前触れもなく出現したソレは、対峙するティアナ達を大きく上回る巨躯で佇んでいる。 牛の頭と人間の肉体を持つ、全身を炎で包まれた化け物――信じ難い存在が現実に具現していた。 「次元空間の航行や転送を行う際の波長にも似ています」 「というと、あの怪物は他の次元世界から転送されて来たのか?」 「『された』というよりも、今も転送『され続けている』と表現した方がいいような――」 「なんだ、それは? …………アレは、本来現実に存在しないものが無理に存在し続けている?」 グリフィスは自分でも支離滅裂な言葉だと思いながらも、その表現が最も正しいように感じた。 これまで確認された<アンノウン>は、倒れた後に例外なく消滅する。まるで最初からこの場には存在していなかったかのように。 それが正しい認識であったとしたら? 本来この世界に存在出来ないはずのものが何らかの切欠や力によって現れ、力尽きることによって再び元の場所へ還されて行くのだとしたら? ――だとすれば、あの化け物どもが本来居る筈の世界とは一体どんな場所なのか? 次元空間にすら隔てられず、現実と夢の境のように決して越えられないのに紙のように薄い境界――その先に存在するというのか。 「馬鹿な……」 言葉とは裏腹に、グリフィスは滲み出る嫌な汗を拭った。 これ以上考えても混乱するだけだ。今は、状況に対処しなくては。 「ヴィータ副隊長は?」 「残存勢力探索の為、地下に向かいました。通信はカットされています」 「呼び出し続けろ。探索が終わり次第、スターズFの援護に」 思考を切り替えたグリフィスに応じるように、はやての通信モニターが展開された。 『状況は把握した。現場にはなのは隊長が向かっとるから、スターズFには専守防衛を命じて到着まで持たせるんや』 「しかし、これを相手に援護も無く、新人だけでは……っ!」 『敵の奇襲の恐ろしさはさっき分かったやろ。後手の対応に回る以上、配置は下手に動かせん』 はやての声は平静そのものだったが、内心では予想外の出来事の連続に頭を抱えているだろうとグリフィスには予想出来た。 人情家の部隊長は決して指揮者向きの性格ではないが、だからこそ自らへの厳しい戒めによって冷徹であり続けようとする。 ならば自分に出来ることは、違える事無く命令を下し、前線の者達に出血を強いるだけだ。 「<アンノウン>動き出しました! スターズFと交戦開始!」 「――防御に徹し、<アンノウン>をその場に繋ぎ止めろ。ホテルには絶対に近づけるな。その命を賭けてでも!」 部隊長の言葉を代弁するグリフィスの命令が厳かに下された。 「ティア、来るよ!」 動き出した燃える山のような牛の化け物を見て、スバルは傍らのパートナーに悲鳴のような警告を発した。 正直、スバルの心には不安と恐怖しかなかった。 幼い頃に出会った炎の怪物は、あの時と変わらず――むしろあの時よりもハッキリとした存在感を持って目の前に敵として立ち塞がっている。 得体の知れない恐怖が全身を支配し、こんな時自分を支えてくれる筈のパートナーは先ほどから様子がおかしい。 唐突に突き付けられたティアナの過去の真実と、初めて見た彼女の豹変振りが思考をかき乱して、スバルから冷静さ奪っていた。 今の彼女を戦場に繋ぎ止めているのは、課せられた任務に対する使命感だけだ。 見た目通りの闘牛のような勢いで突進してくる炎の塊を前に、スバルはそれ以上言葉を続けられず、咄嗟に回避行動を取った。 一瞬早く、ティアナもその場から跳び退いている。 しかし、二人の意思は噛み合わなかった。 意図せず互いに正反対の方向へ跳び、ティアナを案じていたスバルとは違い、ティアナは自身で躊躇わず判断した。 それが、二人の行動の暗明を分けた。 「うわぁああああっ!?」 すぐ傍を駆け抜けていくバックドラフトのような高熱の風。二人とも直撃回避は成功させていた。 しかし、全身に纏わりつく炎の余波にスバルは悲鳴を上げる。 恐怖による竦みと一瞬の判断の遅れが、スバルの足を引いたのだ。 荒れ狂う熱と風に吹き飛ばされ、地面を転がるスバルをティアナは一瞥もしなかった。 「<悪魔>がぁ……っ」 炎の悪魔を睨みつける瞳には怒り。 だがそれは、仲間を傷つけられたなどという優しさに基づいたものではなく。 「邪魔をするな!」 炎の向こうへ消えた仇に届かぬ無念と絶えぬ憎悪。 邪魔をするなら死ね。 立ち塞がるなら死ね。 <悪魔>は全て――滅んで果てろ! 「邪魔を」 カートリッジ、ロード。 「するなァァァーーー!!」 体の奥から吹き上がる感情の嵐をそのまま吐き出す。 クロスミラージュが銃身を加熱させ、銃口はでたらめに吼えまくって、憎しみの弾丸を凄まじい勢いで発射し続けた。 高圧縮された魔力弾が敵の強固な皮膚を突き破り、確実に体内へ潜り込んでいく。 しかし、巨大な体格はただそれだけでティアナの魔力弾の威力を散らした。単純に効果範囲が狭い。弾丸が小さすぎる。 カートリッジ一発分の弾丸を撃ち尽くしても、揺るぎもしない敵の巨体を見上げ、ティアナは舌打ちした。 振り返る炎の山。その両腕に全身の覆う火炎が集束し、物質化するという在り得ない現象が起こる。 炎が形作った物は、その体格に見合うほど巨大なハンマーだった。 外見だけで鈍重な速度と、それに反比例するとてつもない威力が想像出来る。直撃すればダメージどころか原形も留められない。 その凄惨なイメージを思い描いて、しかしティアナは笑う。 いつだって笑ってきた。追い詰められた時でも不敵に、アイツのように。 ――その笑みが、いつも思い描くダンテのそれとは全く異なる凄惨なものだということに、ティアナ自身は気付いていない。 《GYYYYAAAAAAAAAAAAA!!》 この世界の何処にも存在しない怪物の雄叫びが響いた。 ハンマーを振り上げ、地響きを起こしながら敵が迫り来る。 眼前で、燃え盛る塊が振り下ろされた。 「デカブツがっ!」 隕石が自分の真上から落下してくるような圧迫感に悪態を吐きながら、ティアナは横っ飛びする。 《Air Hike》 更にもう一段。クロスミラージュの生み出した足場を蹴って、空高く飛翔した。 そして、爆音。 ティアナの立っていた場所を振り下ろされたハンマーの先端が抉り取る。 インパクトの瞬間響いたのは比喩ではなく、爆発と同じ音と衝撃だった。破裂するように着弾点から炎が噴き出し、周囲を焼き尽くす。 二度のジャンプで大きく距離を取っていなければ、ティアナも余波で火達磨になっていただろう。 《Snatch》 だが判断ミス一つで直結する死に、ティアナは何の感慨も抱かない。憎しみだけが今の彼女を突き動かす。 空中で放たれた魔力糸のアンカーが敵のハンマーの先端を捉えた。 次の攻撃の為に得物を振り上げる敵の動作に応じて糸を縮め、二つの力に引き寄せられてティアナの体は空中を移動する。 ハンマーが最頂点を描く軌道に達した時、タイミングを合わせてアンカーを解除した。 丁度竿に釣り上げられるような形で宙に投げ出されたティアナは、計算し尽くされた軌道と姿勢制御で地面に着地する。 その位置は、完全に敵の背後を取っていた。 「もらった……っ!」 アンカーを放つ傍ら、魔力を集中し続けていた右腕を、満を持して突き出す。 オレンジから赤へと変わりつつある魔力のスパークが迸り、その凶暴な力の奔流を無防備な敵の後頭部に向けて解き放った。 通常の魔力弾を倍近く上回る破壊力が、振り返ろうとする敵の顔面に直撃した。 次々と炸裂する魔力光の中でへし折れた牛の角が宙を舞う。 確かな手応えにティアナは残虐な笑みを浮かべ――光の中から真っ赤な炎が一直線に噴き出して来た。 《Round Shield》 咄嗟にクロスミラージュの展開したシールドが火炎放射の直撃からティアナを守った。 しかし、片目と角を失いながらも口から炎を吐き出す敵の反撃は、シールドごとティアナを飲み込もうと、濁流のように噴き出し続ける。 「ぐ……がぁあああああああああああ゛あ゛ああ゛あああーーーっ!!」 シールドを維持しながら吐き出す苦悶の声はすぐに悲鳴へと変わっていった。 確かに展開した壁によって炎の直撃は避けている。しかし、遮られた炎が消えるわけではないのだ。 拡散し、周囲の空気を焼き尽くした炎は間接的にティアナを蝕んでいた。 相手の魔力を弾くタイプの防御であるシールドは、炎や冷気のような流動的な攻撃を完全には防げない。 更に、魔力によって形成された炎は全身を覆うフィールド系の障壁ともいえるバリアジャケットすら侵食する。耐熱効果など気休めにしかならなかった。 血液が沸騰して湯気となり、皮膚を突き破ると錯覚するような激痛が全身を襲い続ける。 地獄のような時間を、ティアナはただひたすら耐えた。 魔力も体力も、精神力さえ消耗していく中、憎しみと殺意だけが無尽蔵に膨れ上がる。 「殺……して、やるぅ……っ!」 ティアナの執念が、無限に続くような地獄を切り開いた。 高熱の奔流が去った後、周囲が焼き尽くされた中で尚もティアナは立っていた。 「――カートリッジ、ロード!!」 唾さえも蒸発して掠れた声。それでもハッキリと戦意に満ちた叫びが響いた。 クロスミラージュに残されたカートリッジを全てロードする。 今のティアナにはこれだけの魔力を制御する技術は無い。しかし、今必要なのはあの巨体を貫けるだけの純粋なパワーだ。 引き攣った皮膚の下、苦痛を伴って全身を駆け巡る魔力と共に、残された自分自身の魔力もかき集めて両腕に集束する。 ティアナはただ集中した。 視線の先で、再び敵が体当たりを敢行しようと動き出しても。 ティアナはただ信じた。 ――自分だけの持つ力を弾丸に込める。それは必ず敵を打ち倒す。 「あたしの力は、<悪魔>なんかに負けない!!」 どれほど歪んでも、我を忘れても、心に残り続けていた信念を支えに、ティアナは決死の表情で眼前の敵を睨みつけた。 炎の塊が猛スピードで迫り来る中、回避など考えずに、ただ敵を撃ち抜くことだけに集中する。 「やめろぉっ!!」 結末の決まりきった無謀な激突を止めたのは、復活したスバルだった。 青白い<ウィングロード>が突進する真っ赤な巨石に向けて真っ直ぐに伸びる。その上をスバルは我武者羅に駆けた。 体の痛みや恐怖を忘れ、悲壮なまでの覚悟とそれに応じたマッハキャリバーの力によって疾走する。 「リボルバー、シュートォォーーーッ!!」 本来なら遠距離用の魔法を、敵と接触する寸前の零距離で発動させる。 炸裂した衝撃波が纏った炎を吹き飛ばし、同時にその突進を停止させた。 魔力を湯水のように放出し続け、圧倒的な質量の違いを持つ相手にスバルは拮抗する。 「ティ……ティア! 逃げてぇっ!!」 気を抜けば一瞬で弾き飛ばされしまいそうな圧力の中、スバルは必死に背後のティアナへ呼び掛けた。 その悲壮な声を――ティアナは、聞いてなどいなかった。 「うぁああああああああああああああっ!!」 吐き出される魂の咆哮。 暴走する魔力を無理矢理展開した術式で練り上げ、今の自分に使える最大攻撃魔法を発動する。 振り上げた銃口の周囲に、環状魔方陣の代わりとなるターゲットリングが形成され、その一点へ全ての魔力が集結される。 レーザーサイトが標的を捉え、その射線の近くにスバルの姿があることを気にも留めず、ティアナは憎しみで引き金を引いた。 「ファントム・ブレイザァァァーーーッ!!!」 かつてない魔力の奔流が解き放たれた。 放たれた光は一直線に燃え上がる敵の体の中心を目指す。進路上にいるスバルが何も分からずに弾き飛ばされた。 自分を助けた仲間さえ避けず、直進し、ただ破壊するだけの狂気の一撃は狙い違わず<悪魔>を飲み込んだ。 炸裂した魔力光と炎の残滓が撒き散らされる中、直撃を確かめたティアナは凄まじい脱力感に膝を付く。 全ての力を使い切っていた。何もかもあの一撃に乗せた。 ティアナの顔に再び笑みが、力無く浮かぶ。 ただ一色に染まっていた視界は、脱力と同時に他の色を取り戻し始めていた。 現実が見えてくる。 逃がした仇。職務を逸脱した行為。管理局員の身の上で一般人に発砲し、挙句仲間まで背中から撃った。 権力を持つアリウスが訴えれば、自分は機動六課どころか管理局にもいられない。 例えそうでなくても、パートナーを撃った時からもう決定的なものを手放してしまった。 全てが絶望的なまでに現実で、同時にもう何もかもが夢のようにどうでもよくなり始めた。 だから、ティアナは笑う。笑ってやる。 どんな時でも。 それしか出来なくても。 「……スバル」 顔を動かすのも億劫な脱力感の中、視界に倒れたスバルを見つけて未練たらしく声が漏れた。 彼女をあの様にしたのは自分だ。 もう何も取り戻せない。 それでも、ティアナはスバルの元へ駆け寄ろうと足に力を入れ、 《GYYYYAAAAAAAAAAAAA――!!》 「え」 二度と響かないはずの悪魔の咆哮が聞こえ、見上げた先には片腕でハンマーを振り上げる炎の巨体があった。 成す術も無く眼前に巨大な炎の塊が振り下ろされた。 直撃ではなかったが、先ほども予想していた余波の威力――炸裂と同時に広がった衝撃波と爆炎をティアナは自ら味わうことになった。 力の抜けた体がゴミ屑のように吹き飛ばされ、宙を舞って地面に激突する。 口の中で血と砂の味がした。 「なん……で……?」 ただひたすら疑問だけが頭を掻き回していた。 自分の最高の一撃が、確かに標的に直撃するのが見えた。バリアの類も確認出来ない。当たったはずなのに……。 ティアナは必死の思いで顔を上げた。 視界に捉えた敵の姿は、やはり確かに攻撃を受けた痕があった。 巨体から右腕が消え失せている。ファントムブレイザーの直撃を右手で受けたらしい。先ほどの攻撃が不発だったのも、片手だった為軌道を誤ったのだ。 しかし、それだけだった。 「はぁ……?」 ティアナは性質の悪い冗談を聞いたかのように、引き攣った笑みを浮かべた。 全身全霊を賭けた一撃が。全てを代償にした一撃が。 たった腕一本と引き換えだというのか? 「なによ、それ……」 原因は、何も複雑なことなどなかった。単純明快極まりない。 ――ただ威力が足りなかっただけ。 「なんなのよ……それっ」 自分の引き出せる最高の力が。限界を超えた想いが。なんてことは無い、至らなかっただけなのだ。 それで、一体どうしろというんだ? この単純な問題を解決する方法は? 新しい戦法を考える、敵の弱点を突く、罠を仕掛ける――どれもこれも根本的な解決になどなってやしない。 「畜生……」 倒せるだけの攻撃が出来なければ意味が無い。 それが出来ない自分の力に、意味など、無い。 「ちっきしょぉ……っ!」 拳を握り締め、無力感に打ちひしがれながら、ティアナはただ惨めに呻くことしか出来なかった。 手負いの獣と化した敵が鼻息も荒くティアナににじり寄る。鼻息はやはり炎だった。 ――終わりか。 支えていたものが何もかも折れた。 急激に沈んでいく意識の中、迫り来る死を見上げる。 ――全部、お終いか。 傷付いた体ごと、諦めが全てを沼の底へ沈めようと、下へ下へと引きずり込んでいく。 これ以上上がらない視界の中、敵のハンマーが持ち上がって見えなくなった。一泊置いて、今度こそ確実な死が自分を押し潰す。 それを受け入れようとした、と――。 《Divine Buster》 意識が途切れる寸前、見慣れた桃色の光が視界を満たした。 「シュート!!」 なのはの砲撃が一直線に飛来して、ティアナに振り下ろされる寸前だったハンマーの先端を跡形も無く吹き飛ばした。 「間に合った!」 「ハッハァ、まるでバズーカだな!」 初めて見る高位魔導師の砲撃魔法の威力に、腕の中でダンテが歓声を上げる。 ホテルから文字通り飛び出して、ダンテを抱えたまま飛行して現場に急行したなのはは、その体勢のまま敵の頭上へと急上昇した。 「ティアナをお願いします!」 「任せな」 敵の真上を獲ったところで手を離す。 空中に身を投げ出したダンテは、敵に向かって落下しながら両手のデバイスを突き出した。 「自分で燃えるとはいい心がけだ。ミディアムにしてやるぜ!」 怒りの弾丸が放たれる。 空中で錐揉みしながら真下に向けての速射。ガトリング機構の回転を全身で再現しているようなでたらめな銃撃は、雨となって敵の巨体に降り注いだ。 なのはの射撃魔法が質量なら、ダンテの射撃魔法は物量。湯水の如く吐き出され続ける魔力弾が燃え盛る<悪魔>の肉体を削り取る。 苦悶の叫びを上げながら吐き出された火炎をエアハイクによって回避すると、ダンテはそのままティアナの前へ立ち塞がった。 「……やってくれたな、牛肉野郎。ハンバーガーの具になりな」 傷付き、倒れたティアナの姿を一瞥して、再び敵に視線を向けた時にダンテが浮かべた表情はハッキリと怒りだった。 <悪魔>は須らく敵だ。 そして、目の前の存在はもはや絶対に逃がすことすら許さない敵となった。 倒れたスバルの状態を確認し、なのはもまた彼女を守るように立ち塞がり、確固たる敵意を炎の怪物に向けた。 二人の魔力がお互いのデバイスに集中する。 「Fire!」 「シュートッ!」 真紅の雷光と桃色の閃光が同時に敵へと飛来した。 例えこれを耐えたとしても、二人分の火力で押し切るつもりだった。怪我人を抱えて、下手な機動戦は出来ない。 しかし、敵の対応は予想を超えていた。 燃える山が、空を跳ぶ。 「嘘!?」 「Damn!」 なのはが目を見開き、ダンテは悪態を吐きながらも素早くティアナを抱きかかえてその場を離れた。巨体の落下先はこちらだ。 跳躍したこと自体信じられない大質量が落下し、地面が激震した。 自らがハンマーそのものであるかのように、落下の衝撃と同時に爆炎が撒き散らされる。 背中にビリビリとした振動と高熱を感じながら、ティアナを庇う形で余波を凌ぎ切ったダンテは振り返り様デバイスを突き付けた。 「……ヤバイぜ」 冷や汗と共に再び悪態が口を突いて出た。 敵は既に次の行動に移っていた。 燃え盛る巨体の周囲。その炎に呼応するように、幾つもの魔力の集束が地面に点となって発生していた。それらは丁度敵を中心に円を描いて配置されている。 噴火寸前の火山のように、真っ赤に変色していく魔力の集中点。 「ダンテさん! ティアナ!!」 シールドと内側を覆うフィールドで二重の防御魔法を展開しながら、なのはは絶望的な気持ちでカバーが届かないほど離れた位置に居る二人を見た。 ダンテが同じ真似が出来るほど高度な魔導師とは思えない。下手な防御は重傷のティアナに死に繋がる。 思案する間もなく、敵の周囲を地面の魔力集中点から噴き出した炎の壁が覆った。 そのまま炎の壁は波紋のように周囲350度全方位に向けて広がっていく。 空へ逃げない限り回避も出来ない。防御しか残されていなかった。 ダンテとティアナを案じる中、なのはの視界も炎だけに埋め尽くされる。 「くぅぅ……っ!」 展開した二重の防御が、なのはとスバルをかろうじて守り切っていた。 フィールドによる温度変化阻害効果がなければ、加熱した空気によって、気絶したスバルには更に深刻なダメージが行っていただろう。 単純な魔力攻撃よりも、属性付加されたこの類の攻撃は厄介だ。対処方法も限られる。 果たして、ダンテはこの攻撃からティアナを守れるのか? 不安に急かされる中、なのははダンテ達の居た場所へ視線を向け――そして見た。 炎の中に在って、尚も赤い血のような魔力の瞬きが見える。 フィールドと炎のフィルター越しに、やはり眼の錯覚なのかと疑うしかない中で、しかしなのはは見ることになる。 地獄の業火の中で、決して飲み込まれない真紅の光を放つ一点。 かろうじて見える人影の背中に、<悪魔>のような翼が生えていた。 《―――GUAAAAAAAAAAA!!》 火炎地獄は、敵の悲鳴によって唐突に終了した。 周囲を覆いつくす炎の中から、突如飛来した真紅の魔力弾によって残された眼を潰され、顔面を抑えて無茶苦茶に暴れ回る。 同時に、荒れ狂っていた炎は急速に鎮火しつつあった。 障壁を解除し、なのはは一瞬の勝機を読み違わず正確に捉えた。 「レイジングハート!」 《All right. Load cartridge.》 コッキング音と共に二発分のカートリッジが排夾される。 敵の巨体を見越した高威力の砲撃魔法をセレクトし、なのはは漲る魔力を集束した。 それは、奇しくもティアナが実現し得なかった巨大な敵を撃ち貫けるだけの純粋なパワー。 《Divine Buster Extension》 凶悪な光がレイジングハートの先端に宿る。 「シューーートッ!!」 通常のディバインバスターから発展・向上した貫通力と破壊力が唸りを上げて襲い掛かった。 圧倒的な密度と量を誇る魔力が巨体の上半身を飲み込み、消し飛ばす。 今度は<悪魔>が『原形を留めないほどの威力』を味わう番だった。 跡形も無くなった半身。足だけになった敵は、全身を覆っていた炎を自らの活動と共に停止させ、冷えてひび割れた鉄のように黒ずんで、やがて崩れ落ちた。 ヒュゥ、という口笛が聞こえ、見るといつの間にかダンテが炎に飲まれる前と同じ位置に立っていた。 彼自身にも倒れたティアナにもダメージは見られない。何らかの力で守り切ったらしい。 あの攻撃をどうやって退けたかは分からない。 やはり、あの真紅の光は錯覚だったのか。あの姿は見間違えだったのか。それとも――。 まあいい。全ては後回しだ。なのはは疑念を棚上げすることにした。 「……こちら、スターズ1 <アンノウン>の撃破に成功しました。スターズF両名負傷、すぐに救護を寄越してください」 やはりいつものように、交戦を終えた後は何の痕跡も残さない敵の特性のまま、完全な静寂を取り戻した空間でなのはは本部に通信を繋げた。 一方のダンテは、全身を襲う軽い脱力感をおくびにも出さず、デバイスを納めて背後を振り返った。 「とんだ再会になっちまったな……」 傷付き、眠るティアナに届かない言葉を掛ける。 目を閉じた横顔は決して穏やかなものではなく、気絶する前に抱いた悔しさに歪んでいた。 眠る時にすら安らぎは無いのか。あまりに不器用な生き方を続けるティアナの姿に、ダンテは困ったように笑うしかない。 視線を移せば、<悪魔>は完全に消滅している。 ティアナには荷の重い相手だった。上位悪魔の具現化など<この世界>に来て初めてのことだ。 おそらく管理局にとって最も大きな<悪魔>との戦いはたった今終わった。 しかし。 管理局との本格的な接触、より大規模になりつつある<悪魔>どもの活動――少なくとも、ダンテにとってこれは何かの始まりに過ぎなかった。 確実に敵と断定できる男を相手に面と向かい合い、ヴィータは凍りついたように動けなくなっていた。 それほどまでに、目の前に立つ男は――その男の顔は彼女に衝撃を与えたのだ。 忘れたくても忘れられない。 悪夢のような夜に出会い、最悪の遭遇をちょっとした奇跡の対面だったと思わせてしまう男。 襲い掛かる闇の中に在って<彼>の浮かべる笑みは、戦いの中では頼もしく、平穏の中では刺激を感じる。 純粋に、また会いたいと思った。 言葉を交わし、互いを知り合えば、きっと友人になれる――ヴィータがそう思うほどの男が、何故か今目の前に立っている。 「なんでだよ……?」 だが、こんな形の再会を望んだワケじゃない。 「……<ダンテ>」 闇の中にあって酷く映える銀髪と、何者にも屈しない瞳を持ったその顔を呆然と眺め、ヴィータは呆けたように呟いた。 服装と髪型は変わっているが、その顔は間違いなくあの夜眼に焼き付いた物と同じだ。 ただ一つの違和感――彼の性格を主張する不敵な笑みが、その顔には欠片も浮かんでいないということを除けば。 「――ダンテ?」 僅かに訝しがるような反応が返ってきた。 聞き慣れない低い声色に、ヴィータは我に返る。 目の前の存在を呆然と受け入れていた心に、猛烈な違和感が湧き上がってきた。 何かが違う。果たして、ダンテはこんな声を出していたか? 会話をリズミカルに弾ませるものではなく、鋼のように一方的な声を。 「そうか」 一言発する度に、重なり合っていたダンテと目の前の男がズレていく。 一人、何かに納得するような呟きを漏らすと、男は僅かに笑みを浮かべた。 ヴィータの全身が総毛立つ。今や、彼女は完全にダンテと目の前の存在を別物と断じていた。 形ばかりで何の意味もない笑みの形。正しく冷笑と呼べるそれは、ダンテが浮かべるものでは決してない。 「テメェは……誰だっ!?」 ヴィータは咄嗟に身構えた。本能が告げる。この男に隙を見せてはならない。 しかし、彼女の動揺は男にとって十二分な隙となった。 男が左手を振り上げる。あまりに無造作なその行為に、ヴィータは一瞬反応出来なかった。 男は風が吹くのと同じように一切の感情や意図を排して自然な動作で手の中の得物を放していた。 丁度、自分に向けて投げ渡されるように飛んで来る武器。それに意識を逸らされ、ヴィータは半ば無意識に手を伸ばして掴み取っていた。 そこからは一瞬の出来事だった。 意識を男に戻した時、既に彼は動いていた。ヴィータとの間合いを音も無く瞬時に詰める。シグナムが得意とする斬撃の踏み込みに匹敵する超高速の初動だった。 鞘の部分を掴んだままヴィータの手の中にある剣を、そのまま素早く引き抜く。 露わになった刀身は波紋を持つ片刃。<日本刀>の型を持ちながら、ただの鋼ではない全く異質な雰囲気を持つ武器だった。 闇の中に銀光が閃き、ヴィータ自身にさえ視認する間もない速さで刃が走る。 それが、腹部を貫いた。 「が……っ! ぶっ」 肉を裂く音と共にヴィータの小柄な体が無残にもくの字に折れ曲がる。 血が喉を逆流して、食い縛った口から外へ溢れた。 バリアジャケットを易々と貫通し、刀は完全にヴィータを串刺しにしている。 「テ、テメェ……は……っ」 グラーフアイゼンが音を立てて主の血に濡れた地面へ転がる。 ヴィータは必死に男を見上げた。ダンテと同じ作りの顔に冷酷さが加わり、無慈悲な変貌を遂げた眼光が淡々とこちらを見下ろしている。 ヴィータは初めて戦慄した。 あの時頼もしいと感じたダンテの力を、全く反対のベクトルに変えて備えた存在が眼の前に居る。この<敵>は危険だ。 「何……なん、だっ!」 苦悶の中に決死の覚悟を宿しながら、ヴィータは自分の腹に突き刺さった刀身を握り締める。 懸命なその姿を、しかし男は嘲笑いもせず、ただ冷徹な意思のまま刀を更に奥へと抉り込こんだ。ヴィータが激痛に喘ぐ様を尻目に、肩を掴んで無造作に刀を引き抜く。 広がった傷口から血が噴き出し、ヴィータは自らの血溜まりに力無く倒れ込んだ。 「ダンテ……奴も<この世界>にいるのか」 僅かに愉悦を含んだ独白を漏らし、力を無くしたヴィータの手から取り返した鞘に刀を収める。 倒れた彼女にはもはや一瞥もくれず、輸送車の荷台に戻ると、探していた物を取り出した。 それは赤い宝石をあしらったアミュレットだった。 死の静寂を取り戻した闇の中、ただじっとそれを見つめる男の視線には何処か感慨深いものが感じられる。あるいは第三者が見ればそう錯覚するかもしれない、長い沈黙だった。 『――目的の物は手に入ったかね?』 不意に、その沈黙は破られた。 男の傍らに出現した通信モニターにはスカリエッティの姿が表示されている。 彼の視線から隠すように、男はアミュレットを懐に忍ばせた。 「……ああ」 『これで、君の探し物が一つ見つかったワケだ』 「ああ」 『では、すぐに退散した方がいい。アリウス氏も目的を達したようだ。彼の置いていった目晦ましはたった今倒されたよ』 「分かった」 『では。寄り道をしないで戻って来てくれると助かる――<バージル>』 通信が切れると、バージルはすぐさま踵を返して、予め告げられた撤退ルートに向けて歩き出した。 闇の中に彼の姿が消え、やがてその靴音も聞こえなくなると、本当の静寂が暗闇と共に辺りを満たした。 もはやピクリとも動かなくなったヴィータの傍らで、グラーフアイゼンの通信機能がONになる。 『ヴィータ副隊長、救援要請が出ていますが!? ……副隊長、応答してくださいっ!』 通信を繋いだのはデバイスのAIが主の危機に際して独自に判断して行ったものだったが、もはや通信の意味は無くなっていた。 オペレーターのシャリオが異常事態を察して必死に呼びかける声にも、倒れ伏したヴィータは応えない。 主の生命反応が徐々に低下していく事態を感じ取りながら、グラーフアイゼンはただひたすら緊急信号を発し続けることしか出来なかった。 『お願いです、応答して下さい! ヴィータ副隊長! 応答して――!』 to be continued…> <ダンテの悪魔解説コーナー> フレキ ゲリ(DMC2に登場) 犬の系統にある動物ってのは総じて忠誠心が高いと言われてる。忠犬を主役にした映画やアニメは結構在るよな。 <悪魔>ってのはその対極にあると言っていい。 奴らにあるのは力の有無だけだから、どいつもこいつも好き勝手に喰い合って、強い弱いで生きる死ぬが決まっちまう。まあ、分かりやすいといえば分かりやすい弱肉強食だ。 そんな自分勝手な奴らの中でも変わった<悪魔>ってのはいるもんだ。それがこの二匹だ。 <悪魔>でありながら同じ<悪魔>に付き従う、珍しい忠誠心を持った忠犬ならぬ忠狼ってワケだ。 従属心が強いせいか、他の<悪魔>のように好き勝手暴れることがない。御主人様が別に居るとはいえ、忠誠に値するなら人間にも一応従うみたいだしな。 人間サイズの大きな体格とそれに見合わない素早さが、狼そのものって感じの単純な攻撃パターンを強力なものにしてやがる。 おまけにコイツらは必ず二匹行動するらしい。狼の狩りのように鋭いコンビネーションは決して油断できないぜ。 なかなか厄介な相手だが、こんな奴らさえ付き従える<悪魔>ってのは更に厄介極まりない相手なんだろうな。 前へ 目次へ 次へ
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珍しき、兎の獣人 初出 第四話『追われる者の末路は』にて登場。 "跳ねる飛魚亭"の店主『ヌック』が、彼女を仲介役として起用した。 その後は、事あるごとにPC達の前に顔を出し、力を貸すことになる。 人物 お嬢様のような口調と、頭上の兎耳が特徴的な、 グランゼールに所属する冒険者である。あとツンデレ。 見ての通り、種族は『ライカンスロープ』。蛮族に類するが、 元よりライカンスロープは蛮族にも人族に対しても「中立」であり、 彼女自身も全くの人畜無害。 それどころか、かなり御人好しな性格であり、PC達にもかなり協力的な模様。 しかしながら、彼女の正体はグレンゼール中にバレており、 それ故にロクな仕事に在りつけていない。 色々試してみたようだが、あの特徴的な耳が隠せなかったようだ。 また、第十話『鋼鉄に芽吹く』では、他のNPCから差別的な扱いを受ける。 人が良く明るい彼女だが、この時ばかりは流石に凹んでいた。 その後、PC達から慰められ、ついでに遊びのお誘いも受けたことで、すぐに持ち直したようだ。 どうやら、本気で楽しみにしている様子。自分が陰キャである自覚はあるらしい。 第十四話『迷宮に巣くう』では、友人の子を救うべく、 単身で"三眼の蛇"の拠点へ乗り込む。 ベルを友人扱いしていることから、遊びのお誘いが実現した後なのだろう。 何とかその子を逃がしたものの、自らが敵の手に落ちてしまい、 理性の無い怪物に変貌させられた。 しかし、PC達に立ちはだかったことで撃破され、 元の姿に戻ることができた。 怪物化の副作用か、穢れを受けてしまったようだが、 その後の回復は順調のようだ。 コネクション/ボーナス 10点 (顔見知り)/なし 100点(友人) /なし 不明 登場履歴 セッション4「追われる者の末路は」 :依頼の仲介人として登場。虐められる。 セッション10「鋼鉄に芽吹く」 :列車試乗のお誘いをする。虐められる。 セッション14「迷宮に巣くう」 :悪の手に落ち、怪物化。
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総受け野郎なんて呼ばせないッ(罠でした。) 作者: ID sj7FOMk1 15-897から派生 きぃぃ、と鍵の掛かっていない部屋に入る。 予想通りに少しインク臭い部屋と原稿やら資料(何故か大半が紙媒体)で散らかっている。 手元のポケットライトを頼りに手当たり次第に探していく。 (こういう時に検索魔法が使えたら便利だけどな……流石に条件がわかんないから仕方ないよね) もしかしたら適当な隠語を条件にすれば見つかるかもしれないが、無意識に選択を拒否する。……認めたら男として最後だし、元々は言葉攻めは苦手だから。 内心でユーノらしくない愚痴をつきながらも捜索を続ける。 古典的だけど本棚の裏か、机の裏の隠し板の中とか……とりあえず目標をベッドの下に。する。 手探りで布団の上をなぞったりして探してみるが…… もみもみ、もぞもぞ……もみもみ。 (……でも、変だな?羽毛布団ってこんなに指に心地よい弾力などしていたっけ?) 疑問が浮かびつつも探る手を強めてみる。 うん、やっぱり柔らかい。しかもホットミルクのように人肌しかも何処かで触ったことのあるような、ないような……いやいやなのはとアリサの中間くらいの大きさか、あれ? 「そんなわけないよね、まさかね……あははは、ひゃううぅぅぅ!!!」 脳裏に走るイメージ、同時に首筋に感じる冷たい雫と同時にバランスを崩してベットに倒れこむ。 今度は顔全体にかかるハリのある弾力と感触……急に部屋に灯りがつく。 「うおっ、まぶし!! でも一体何が……あっああああああ!!!!」 ユーノは目の前の光景を疑いたくなる。もうお分かりだろうけど…… 「ああんもう、もっと続けてもよかったのに……ワイルドなユーノ君も素敵やけどな」 ……裸Yシャツ装備のはやてを押し倒していました、ありがとうございます。 「は、はやて?今日はクラナガンの方で泊り込みのお仕事じゃなかったの?」 「それがな――捜査協力の直前に犯人つかまったもんやから急に暇になったんや」 黒下着の上に裸ワイシャツ(しかもユーノのお下がり。微妙に染み付き)のまま、ユーノの顎を手に取るはやて。 完璧に嵌められた、という絶望感がユーノにいやおう泣く襲い掛かってくる。さらに…… 「もう、ユーノ君ったら、そんなに欲情していたなら最初に言ってくれればよかったのに!」 「まったくだな。男ならば色欲はもって当然……待て、ヴィータ抜けがけは許さんぞ」 「きこえねーです~あたしは先約があるからいいんだよ」 手足は瞬時にバインドで固められ3人に乗っかられてマウントを取られる始末。 ちなみにシグナムはバスタオル一枚の格好で後ろから、たゆんたゆんな凶器で拘束。 シャマルはやけに豪華なレースのネグリジェで囁き。 ヴィータは白ハイレグに振る装備のバニーガールという始末。 「ねぇ、ユーノ君。女の人の部屋に無断で入るのは夜這いのときだけやで?」 「主の言うとおりだ。敵の手中に収まった不埒者の末路をとくと学習させてやる」 「おめーら、何で顔がにやけてるんだよ……別にいいじゃねぇかよ、痛くしなくてもよ」 「甘いなヴィータ~そんなら、恨みっこ無しでみんなではんぶんこしようか?」 「僕はものじゃな―――い!!!!っていうか、やめてやめてズボンに手は不味いって!擦るのNG!剥くのはダウトだからね!ちょっやめ―――!!」 もはや草木さえも起こしかねない肉林の開幕。 ちなみに……この一連の模様は何故かユーノのポケットに入っていたレイジングハートそっくりな紅い宝玉により監視かつ放映(しかもデバイスで見れるワンセグ機能付き) 公開●●●●を目撃した悪魔一堂が、八神家ぶんなぐり艦隊で殴りこむまで……もう間も無く。 15スレ SS はやて シグナム シャマル ユーノ ヴィータ
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海岸の先住民族 初出 第八話『8月7日/Alice In Ryugu Castle』にて登場。 謎の奇病に苦しめられていた公式NPC。 都市部との関係をほぼ断ち、木の船で漁などをして暮らしている。 自分たちの領域に無断侵入されることを嫌うため、どうにか和解、 もしくは強行突破する必要がある。 コネクション/ボーナス 30点(顔見知り) /ヤヴィーとの和解済み 150点(友人) /なし 不明